富山の未婚率が上昇している理由とは?今後の動向も予測
富山県は、世界遺産・ユネスコ文化遺産・世界遺産候補を保有する自然と歴史のある土地です。合掌造り集落で有名な白川郷・五箇山や波打ち際が青く染まるホタルイカの身投げ、迫力のある放水を見せる黒部ダムなどの名所がたくさんあります。自然豊かで文化遺産が多くある富山県へ、将来的に移住したいと考えている方もいるのではないでしょうか?
しかし、日本全体が人口減少と少子化の問題を抱える中で、富山県も例外ではなく、人口が減少すると同時に未婚率も上昇しています。このまま結婚しない人が増えて富山県の人口が減り続けてしまうと、都市機能や素晴らしい遺産を維持できなくなる可能性があります。
本記事では、『富山県の未婚率の実情』や『未婚率が上昇する背景』などをご紹介します。
富山県の未婚率は上昇している
全国の生涯未婚率と富山県の生涯未婚率を比較してみましょう。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、男性の生涯未婚率は、全国平均が23.37%に対して富山県は21.94%です。女性の生涯未婚率は、全国平均が14.06%に対して富山県は10.41%です。全国平均に比べれば、男女ともに富山県の生涯未婚率はやや低いことが分かるでしょう。
しかし、未婚率の推移を見ると、富山県の未婚率は上昇しています。富山県の未婚率は、1920年から1980年0.74%~1.51%と安定した推移を保っていました。しかし、1990年には3.0%に上昇し、以来2015年の21.94%まで右肩上がりです。
富山県の未婚率が上昇し続ける背景
魅力的に見える富山県ですが、なぜ未婚率が上昇しているのでしょうか。ここからは、富山県の未婚率が上昇し続ける背景を掘り下げます。
県外への若者の流出
富山県が公表している「富山県の人口等の現状」によると、10代後半から20代前半の人口が極端に減少しています。その主な理由は、大学への進学です。
これを裏付ける調査として、2000年から2014年の間の「富山県から他都道府県への年齢別の人口移動」を見ると、男女ともに15歳~24歳の転出超過数が目立ちます。このことから、大学に進学するために県外へ行き、そのまま就職・結婚して富山に戻らない若者が増加していることが読み取れます。
少子化問題
近年、日本では少子高齢化が問題となっています。少子化問題は、富山県も例外ではありません。富山県が公表している「富山県における少子化の状況等」によると、昭和40年をピークに出生率が減少に転じています。
昭和47年は、富山県の出生数は18,975人でしたが、平成27年には7,880人にまで減少しています。それに伴い、富山県の子どもの人口は、昭和25年には361,557人でしたが、平成24年には137,721人にまで減少しているのです。つまり、未婚率がただ減少しているというわけではなく、富山県で生まれて育つ子どもの数自体が少なくなっているため、必然的に結婚適齢期を迎える人口も減少しているということになります。
また、前述したとおり子どものうちの多くが大学進学を機に県外へ流出してしまいますので、富山県はこの悪循環により未婚率の上昇が止まらない状況に陥っています。
世間体を気にする
富山県の未婚率を解消する動きとして、自治体が婚活パーティーなどを多く開催しています。しかし、市町村内の婚活パーティーは顔見知りの人が多く集まるため、地元の人は参加しづらいという意見があります。また、参加者の中には、数合わせのために役場の人や公務員として働く人が嫌々参加するというケースも見られるようです。
さらに、富山県は日本の中でも特に世間体を気にする県民性です。そのため、結婚できないでいること、婚活をしていることなどを周囲に知られたくないという風潮が強く、婚活パーティーに参加することは他の地域よりもハードルが高いのが現状です。そして、この世間体を気にする富山県民の性質が、未婚率の上昇に拍車をかけている一因でもあるようです。
したがって、富山県内で婚活をしたとしても成婚に至る確率は低く、現実的ではないでしょう。
今後の富山はどうなるのか
富山県の県庁所在地である富山市が掲げる人口ビジョンには、「このまま人口減少が加速すれば、超長期的には都市規模の維持が困難となる恐れがある」との予測が記されています。また、未婚率の上昇を止めるためには以下の3つの課題を解消する必要があることも示しています。
- 少子化による結婚できる人口の減少
- 県外への転出超過
- 富山県内での婚活のハードルの高さ
富山県に住む人をすぐに増やすことはできませんが、富山県への転入者を増やすことは比較的取り組みやすい施策です。シナリオとしては、県外から富山県に転入して結婚して子どもを産む人が増加すれば、人口減少を緩やかにできるというものです。そのために、富山県は交流・定住を促進して、生活環境の充実などを図り、都市の魅力を高める施策を行っています。
田舎へ移住するなら富山へ!
美しい自然をもつ富山は、都市の存続が危ぶまれるほどの未婚率・人口減少・少子化の問題を抱えていることが分かりました。富山が誇る文化遺産や世界遺産、そして都市は十分な人口が存在しなければ維持することができません。しかし、このままの状態が続けば都市の維持すら困難となってしまいます。
そこで、富山市を中心に富山県では他県からの転入者を増やそうと、住民の声を聞きながらさまざまな対策を打ち出しています。将来的に田舎への移住や田舎での婚活を考えている人は、人口増加のために積極的な対策を行っている富山県での暮らしを視野に入れてみてはいかがでしょうか。